Food for Love

そして、弘前に数日間滞在してきた。
以前の日記に書いたように、私にとっての新しい弘前のパワースポット、「マンチ食堂」には
滞在中、毎日通った。お昼ごはんを食べに行ったり、夜飲みに行く約束までの時間を、
お茶を飲みながらゆっくり過ごしたり、映画の打ち上げにみんなで行ったり。
なぜ、こんなに自分がこの店に魅かれるのか言葉にするのは難しい。
このお店をやってる素敵な夫婦、たかし君ときぬよちゃんとは人生の中で大切に思ってる
ものが似てるからかな。
旅、音楽、おいしい食べ物、本、アート、植物とか。
でもやっぱりいちばんの理由は、この店で出される全ての物にも、この店の空間にも、
愛があふれているからでしょう。
今後、夜中にどうしてもたかし君ときぬよちゃんに会いたくなったり、マンチ食堂の
トムヤムそばや鶏肉のバジル炒めかけごはんが食べたくなったり、チャイや自家製の
ジンジャーエールが飲みたくなったら、急に次の日には弘前に行っちゃうかもしれない。
私にとってはそのくらい大切で大好きなお店。
この店で、滞在中、たくさんフィッシュマンズを聴いた。ふたりにDVDを借りて、夜、部屋に
戻ってからふとんの中にもぐってフィッシュマンズのDVDを観たりもした。しばらくの
間はフィッシュマンズを聴く度に、今回の弘前での時間を思い出しそうだ。

今回の滞在中、自分にとって大切な人の誕生日が二回あった。
一人目は吉井酒造のオーナー、吉井千代子さん。吉井さんほどのひとにどんなプレゼント
を買うかものすごく迷ったけど、今回初めて行ってとても気に入ったお店「平山万年堂」に
行って平山さんに相談することにした。昨日見て、気になっていたペン先がガラスに
なってるガラススペンのことを話したら店の奥からなにやら素敵なものが！
イタリアから取り寄せたという持つところもペン先もガラスの万年筆。
赤いガラスに細く黄色いマーブル模様が入っている。
ものすごく素敵だったので、自分に買いたかったけど、この万年筆は吉井さんのものという
直感のようなものがあったので、自分のものにするのは泣く泣く諦めた。
インクのボトルと一緒に箱に詰めてもらって、吉井さんの会社に渡しに行く。
社長室でしばらく待ってると、吉井さんが自分で煎れてくれたお茶を片手に現れた。
この人は見れば見るほど美しいなぁと思う。
厳しくて優しくて、潔くて余計なものは持っていない。でもユーモアやかわいらしさは
ちゃんと持っている。憧れの人だ。
吉井さんに自伝みたいなものを書き残してほしいと以前から思っていて、吉井さんに
ぜひ書いてほしいとお願いしてみたけど、吉井さんは「そんなものより、AtoZ殺人事件
とか書きたいわ。」などどおっしゃっていた・・・。
次から次へと出てくる吉井語録に聞き入ってしまい1時間も長居をしてしまった。
でも、ここで過ごした1時間は宝物のように素敵な時間だったな。

二人目はAtoZのボランティアをしてたかのちゃん。出会った時から、この人は自分に
とって特別な存在になるんじゃないかと思ったりしてたけど、やっぱりそうだった。
かのちゃんはAtoZのボランティアを通して本当に変わったと思う。出会ったばかりの
春先はまだ繊細すぎて、いつもいろんなことに泣いていた。だから撮影をしながら、
いつも彼女のことがどこかで気になっていた。でも、撮影に行く度にかのちゃんがどんどん
たくましくなってくのがわかった。そして、実際、AtoZのボランティア作業をきっかけに
かのちゃんは自分の本当にやりたいことをやる決心をして、今はその為に日々がんばって
いる。だから、その夢がいつか実現しますようにという願いをこめて、夢が実現した時に
身に付けてほしいものをプレゼントした。
誕生日当日の夜に、マンチ食堂でかのちゃんの誕生会。りょうこちゃんとひまわりで、
かのちゃんが好きだという豆腐チーズケーキを買って、後で出してもらうことにした。
みんなでおいしものを食べる。たかし君ときぬよちゃんが、おめでたいお頭つきの
魚の素揚げの料理をお祝いに出してくれて、それが感動的なおいしさだった。
鳴海さんもジルチでわざわざ焼いてもらったというケーキをクラフト紙に包んでラッピング
してプレゼントという粋なプレゼントを持ってお店に現れ、風のように一瞬で去って行って
かっこよかった。
ひまわりのチーズケーキはキャンドルに火をつけて出してもらってBGMも
Happy　Birthｄａｙで！そしてケーキを切り分けてもらってみんなで食べてる時に
フィッシュマンズの「いかれたBaby」がかかった。
なんだかね、この時、魔法にかかったように幸せな感じだったな。

東京に戻る日の朝、少し撮影をした。
極度に寂しかったり、切なかったり、悲しかったりする時は、その気持ちを作品に
昇華させるとものすごくいい作品ができたりすることがある。
このことは奈良先生から教わった。
この時撮った写真はまだ現像してないけど、とてもいい写真が撮れたような気がする。