旅の記録

9日
スタジオで新商品のイメージカット撮影。
デザイナーの佐々木さんが小道具として使う花を準備してくれた。
いろんな色のいろんな種類の花が用意されていて、見ているだけで幸せな気持ちに
なる。昔は花なんて、すぐ枯れちゃうし、自分がもらうのも人にあげるのも、
花なんかじゃなく、もっと長持ちしたり、実用的なものがいいなんて思ってた。
でも、最近、やっと花のすごさがわかってきた。儚いものの美しさは強い。
そして、音楽やアートや文学とか映画もそうだけど、なくても死なないけど、
あるといいものが自分にはとても大切な位置を占めているんだってことも
わかってきた。
ひとあし先に、春が来たような幸せな撮影でした。

10日
奈良さんのドキュメント映画「NARA：奈良美智との旅の記録」の
完成披露試写会に行く。坂部さんにはオレンジのバラの花束を、
柴さんにはピンクのチューリップの花束を。
一度、青森県美の映画祭で完成版を観たけど、更に少し編集がされていた。
今回ぐっと来たのは、弘前の風景の場面。岩木山とか桜とか。眩しすぎて、
スクリーンを直視できなかった。それと、奈良さんが語るいくつかの場面。
今更だけど、奈良さんの生き方はかっこいいなぁ。
そして、前回と同じくAtoZの会場風景。
やはりあの感じをスチールだけで表現するのは難しい。この映画を観る度に
あの感じを思い出すことができるなんて本当に嬉しい。
坂部さん、この映画を撮ってくれてありがとう！
試写会後は、坂部さんを囲んでみんなで飲む。米子の今さんや、小山Gの
なみえさん、葉子ちゃんやリミちゃん、さきちゃん、、弘前の母成田さんなど、
旅の途中で出会った人達と久々に再会できて嬉しかった。
みんなで「ここが東京なのが不思議だねー。なんだか弘前の鍛治町に
いるみたいだよね。」って言い合った。
実をいうと、私は最初、坂部さんが苦手だった。とてもクールで大人って感じ
だったから。
自分とは明らかに違うタイプだと思った。でも、いろんな場所で一緒に
奈良さんの撮影をしているうちに、撮影者としての共通の感情を共有してることに
気づいた。坂部さんはクールだから、それをその場で口に出したりは
しなかったけど、感情を共有できる人がいるだけで、その時の辛さが
小さくなったり、喜びが大きくなったりする。
私は今まで坂部さんに対して思ってたことを初めてちゃんと伝えた。坂部さんは
ちょっと泣きそうになってた。大人だって泣くものだ。
朝４時まで飲む！


11日
成田さんと原美術館へ。コレクション展とジェイソン・テラオカ展を観る。
この美術館は東京の美術館の中でも特に好きな場所。
その後、表参道に移動して、ギャラリー川野で着物や帯を見る。
そしてNadiffを覗いて、AtoZカフェでお茶を飲み、さきちゃんと合流して、
千吉でうどんを食べる。
成田さん、またどこかで！
帰宅したら、あーちゃんから素敵なプレゼントが届いていた。
ｍｉｎａのバッグ！その中に、チョコレートとバースデイカードが入っていた。
ｍｉｎａのバッグはいつも見る度にかわいいなと思っていて、でもなかなか
買えないものだったのですごく嬉しかった。でもそれ以上に嬉しかったのは、
誕生日が過ぎても、私に似合うものを見つけたいって思ってプレゼントを
探し続けてくれたというあーちゃんの気持ちだ。プレゼントってそのものよりも、
相手が何をあげたら喜ぶかを考えるその気持ちがいちばん大切なんだと思う。