熱海

赤々舍の姫野さんに誘っていただいて、熱海に行ってきた。
メンバーは写真家の浅田政志君、石川直樹さん、エリック、岡田敦さん、
徐美姫さん、澁谷征司さん、高橋宗正君とテレビ制作会社の杉本さん。
二泊三日の旅だったのだけど、毎日が別々の旅のような濃い三日間だった。

４月９日
「新幹線じゃなくて、あえて普通列車で行こうよ！」という姫野さんの
提案により１０時に東京駅集合。だが、姫野さんが寝坊・・・。「岡田君が
ホームにいるはずだから」という電話がかかってくる。そしたら近くにいた
男の子から「あの、熱海に行きますか？電話は姫野さんでしたか？」と
話しかけられた。それがエリックだった。香港生まれの中国人の男の子。
そして私たちの目の前を赤ちゃんをつれた女の人が通り「あの人が徐さんかな？」
とふたりで後を追いかけたらその先に岡田さんがいた。そして４人で出発。
熱海にお昼頃到着。ホテルに荷物を置いて、おいしそうなパン屋さんで
パンを買い、海に向かう。海をみながらみんなでパンを食べる。そして
音楽を聴きながらいろんなことを話したり、写真を撮ったり、波打ち際に
行ってみたりする。そして、後から到着した他の人達と合流して
ラーメンを食べに行く。それから、街を散歩しつつ、夜に食べる干物を
買ったり、アイスとクッキーがおいしいという洋菓子屋さんに行ったり、
また海に行ったりして、スーパーで買いものしてホテルへ戻る。
男子部屋に集合して、みんなで干物を焼きつつ飲む。そして、作品を
持って来ていた浅田君と高橋君の写真を観たり、話したりする。
姫野さんの存在が日本の写真界を変えたなって思う。
石川さんと岡田さん以外の人は初対面だったんだけど、全くそんな感じが
しない人達ばかりだった。みんないつも現場で生きてるからかな。
夜中に温泉に入って就寝。

４月１０日
おじいちゃんの家が熱海にある渋谷さんの案内で素敵なコーヒー屋さんに行く。
カウンターしかないお店で、ちょうど人数分の椅子があった。その店で、
昨日から感じていた熱海の街や人々が言葉にならない不思議な感じがする
理由がわかった。みんなお芝居の舞台みたいなのだ。何かが過剰。でも
それがイヤな感じではなく、懐かしくて優しい感じ。で、ちょっと悲しい感じ。
それから、お寿司を食べに行く。そして、ローマ風呂へ。話に聞いていた
以上にすごい場所だった！男子チームは撮影会状態だったらしく、中学生の
修学旅行のような盛り上がりをみせていた・・・。徐さんとお風呂の中で
いろんな話をした。徐さんは姫野さんと似てる部分が色々あるなと思った。
外見はとても女性的で美しいけど、中味は潔く、覚悟が決まってるとことか、
むき出しで生々しいとことか。
ホテルに戻り、一泊で帰る人達と別れる。そして、岡田さんと部屋で話す。
岡田さんはそこにいるだけで、気持ちが安定してくるような人だ。あの
ゆっくりした話し方もとてもいいと思う。そして余計なことはしゃべらず、
あの大きな目でたくさんのものをきちんと観てるんだなと思う。岡田さん
みたいな人が姫野さんの近くにいてくれてよかったな。
夕方、姫野さんと渋谷さんと待ち合わせて魚がおいしいというお店に行く。
大きな雨音を聞きながら、私たちしかいないお座敷で、お刺身やさざえの
つぼ焼や、煮魚や海老フライを食べる。感動的なおいしさだった。そして
閉めにまご茶漬けというお茶漬けの上に生の刻んだお魚が乗っているものを
食べる。本当においしかった・・・。
渋谷さんは最終の新幹線で東京に帰って行き、３人でホテルに帰り、部屋で
飲む。姫野さんには心から幸せになってほしいなと思う。でもその幸せは
一般的にいう幸せではなく、姫野さんらしく好きなように生き続けるという
こと。明け方まで話して、就寝。

４月１１日
ホテルをチェックアウトして、谷崎潤一郎が通ったという素敵な洋食屋に行く。
一階が満席だったので、二階のお座敷へ。窓から海が見える。のんびりした
空気の中でゆっくりハンバーグを食べ、コーヒーを飲んだ。そして、
おみやげを買い、駅へ。帰りも新幹線ではなく、普通列車で帰る。窓から
海や山をみながら、景色が少しづつ東京に近づいていく感じが心地よかった。
そして東京駅で解散。
私は私の撮りたいものを撮りまくって行こうと改めて思わせてくれた旅だった。